小鳥のさえずりを聞いて、クラトスは目をさました。

「……朝か…」

つぶやきながら体を起こすが、いつもならとっくに消えているはずの睡魔がまとわり付いてくる。
昨夜はソレイユの告白に動揺してなかなか眠れなかったのだ。

「フ…私もまだまだだな」

あの後、一人庭に取り残されたクラトスは部屋に戻って物思いにふけった。

「まさか…姫が私のことを想っておられたとは…」

まさに予想外だった。
彼にとってソレイユは仕える主君であり、また妹のような存在だったからだ。
だが――あの時、自分への想いを告げられた時、驚くと同時に嬉しかった。そして彼女の白く細い体を抱きしめたいと思い――咄嗟に自分の立場を考え思いとどまった。
おそらく、自分は今まで自分の想いに気付かないふりをしていたのだろう。ソレイユと自分自身のために。だが、もう気付いてしまったのだ。

「…私は……」

クラトスは懺悔するかのように腕を組み、それを額に押し当てた。 0



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